スケッチ・刺青

 あ、青、と言われて目を遣ると、肘の内側がべったりと染まっていた。先刻、印刷機に紙が詰まったのを直したから、そのときに、と言い訳し、給湯室で腕を洗った。青い泡がシンクを滑り落ちた。

 青は完全には落ちそうになく、薄くなってきたところであきらめをつけて席に戻った。手渡そうとした書類に青い染みがあるのに気づく。机にも、手帖にも、青がうつっていた。手首を検め、石鹸をつかって流したはずの肌が鮮やかに青いことに狼狽する。ごめんなさい、インクが、と度を失う私に、でも、とってもきれいな青でしたよ、と隣の席の同僚が微笑む。
 刺青みたいに。
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